Angel’s Ladder(天使の梯子) 第5話 「sunset clouds」 2009 年 10 月 11 日
お国のため?
そんな事じゃねぇ。
ここにいるほとんどが、家族の為、恋人を守る為にやりたくもない人殺しをしているんだ。
お前は鉛筆とカメラが仕事だろうが、俺は機関砲で迫ってくる敵機を撃つ。
お前も大変だろうが、俺らと違い、手を汚さないだけマシだ。
―没になった陸軍爆撃機銃手のインタビュー より―
「ん?これは・・・・機長!海軍の電探に捕まりました!」
電探士の早乙女少尉が冷静に機長へと報告する。
「了解!念には念を。面舵20!ゆっくりとだ。」
「ヨーソロー!面舵20!」
機長である外野大尉もまた落ち着いた口調で副操縦士である堀之内に命令を下し、舵を取らせた。
機体は右にやや傾きながら旋回している。
海軍甲事件を受け、白鷺は防弾板に防弾板を重ね簡単には落とされない機体となったが、代償に斯衛側の要望書より100kmも速度が低下してしまった。
それでも、正式採用された理由の1つが旋回性能のよさであった。
「電探から逃れました!」
「よし、舵戻せ。」
「舵戻します。」
堀之内は、やや右に切っていた舵を中央に戻し、機体を水平にする為に小刻みに操縦桿を動かしてた。
―・・・はぁ~。―
操縦室には緊張した空気が漂ったが、電探圏外に出た時、皆から小さな溜息がでた。
操縦室で煌武院京華との楽しい会話から2時間半余り経過し、太陽も西に傾きパラオまであと40分ほどの距離まで来ている。
その為、10,100m上空を飛行していた白鷺も徐々に高度を降下し、現在8,230mを飛行していた。
「機長!パラオの管制官から交信が来ています。」
「よし。繋げ。」
通信士の皆川が交信回線を開く。
―こちら、パラオ管制官新井田です。―
「こちら、白鷺機長外野です。」
―現在、パラオは厚い雲に覆われています。雨こそ降ってはおりませんが、南西の風、風速9mと波もやや高く、視界もあまりいいとは思えません。この状況から、当初の予定の水上飛行場ではなく、民間の国際空港に着陸を願います。ILSがありませんが、あなた達の腕です。大丈夫でしょう。―
「ありがとう。」
―これより、白鷺を誘導します。周波数72.55に合わせて下さい―
通信は搭乗員全員に聞こえるようになっている。皆川は、ダイヤルを回して周波数72.55に合わせた。
「堀之内、シートベルトのサインと煌武院様へのアナウンスをやれ。」
「・・・はい。」
面倒くさいことはいつも俺に回すなと心の中で堀之内は舌打ちをしながら、シートベルトサインのランプ点灯ボタンを押し、インカムのスイッチを入れた。
―ポン(シートベルト着用サインON)―
―え~副操縦士の堀之内です。当機はあと4,50分程で、パラオ国際空港に着陸する予定です。シートベルトをお締めになり、もう1度ご確認ください。現段階でパラオの天候は曇り時々雨。厚い雲の中を降下する為、機体が大きく揺れる事があります。墜落するわけではないので・・・御安心を。―
「つ、つ、つ、墜落?京華様大丈夫でしょうか。」
「皆さんの腕が確かなのは、素人の私でもわかりましたよ。心配する事もないかと思います。月詠、見てみなさい。つい今し方から海が消えて、雲海の上をスレスレで飛んでいるんですよ。」
通路側に座る月詠は、身体を京華の方に傾けて小さな窓を覗いてみる。西に傾いている陽を浴びた低気圧の雲はオレンジ色に染まり京華と月詠を魅了させた。
「気付きませんでした。この景色もまた綺麗ですね。」
「雨を降らす嫌な雲だと思っていましたが、この景色を見ると見方が変わりますね。まったく、飛行機乗りは羨ましい稼業です。空に魅せられる人が多いのがよくわかります。」
京華の顔に不安の表情はない。その表情に月詠も少しは不安を解消できた。
―ガタ、ガタッ―
激しい気流を受けた白鷺は音をたてて揺れた。2人は離陸と同じように指と指を絡め合う恋人繋ぎで手を繋いだ。
「え~、と最後の一言は余分だったな。」
「そうでしょうか。私が幼少期に父親に連れられて・・・・」
―こちら、パラオ管制。貴官らは現在7,500m上空を飛行中で間違いないですか。―
「はい。」
―高度3,000mまで降下せよ。高度3,000mまで降下せよ。―
「了解。自動操縦解除。」
「ヨーソロー。自動操縦解除します。」
頭の上にある自動操縦スイッチをオフにすると、操縦桿が重たくなってくるのが伝わってくる。
「いくぞ。」
重たくなった操縦桿を外野はやや倒し、機首を微妙に下に向かせ、機体を降下させ始めた。
白鷺はオレンジ色に染まった雲を切り裂きながら雲へと侵入した。
表面はオレンジ色に染まっていた雲の中は灰色の重たい色をしていた。
高度計と速度計の針は左右に小刻みに揺れている。
「高度6,000m。」
操縦士の2人は、いつもより力強く操縦桿を握り機体が揺れるのを最小限に抑えている。
機関士の神楽はエンジンの回転数に注視していているが、早乙女や皆川、航海士の友野はやることが特に無い為、口笛を吹いたり、一番近くにある窓から見える景色を見ていた。
―ガタガタ、ガタッ、キュッ、ガタ、ギシ―
激しい風を機体は上下にたまに左右に揺れながらも、力強く飛んでいた。
(たまに軋む音がするのはなぜでしょうか。)
時たま聞く”キュッ、ギシッ”と軋む音が京華を不安にさせていた。
窓をのぞいてみるが、景色は重たい灰色の雲だけ。
―ギシッ―
(あっ!)
白鷺の翼は胴体の上に取り付けられている。
その為、京華達には見えないはずの翼端が揺れた際に一瞬見えたのだ。
(翼が軋んでたんだ。)
京華は、揚力を得るために翼が形が変わるという事を知るのはもっと後であった。
「高度3,300・・・200・・・100・・・3,000!」
「機首を上げ、機体を水平に保て。」
堀之内は指示通り、操縦桿を引き機体を水平にした。
先ほどとは違い、重たい灰色から薄い灰色にはなったが、以前雲の中を飛行している。
―こちらパラオ管制。ポイント通過しました。飛行場は視認できますか?―
「こちら白鷺。薄い雲に覆われ視界不良。飛行場視認できず。高度2,000mまで降下する許可を願います。」
―待って下さい。・・・・・良いでしょう。許可します。滑走路の灯りをつけておきます。―
「これより、高度2,000mまで降下します。以上」
高度をさらに1,000m降下する為、再び操縦桿を押し、機首を下げた。
「機長より各員へ。まもなく雲を抜ける。各員聞いての通り飛行場を探せ。」
「了解。」
外野が各員に檄を飛ばし、弛んでいる隊員の気を引き締めさせた。
高度2,500m付近でようやく厚い雲を抜け、出迎えたのはパラオの地上ではなく、大粒の雨だった。
操縦室の窓から見ると、雨は白鷺をよけてくれているようにも見える。たとえぶつかっても水滴は左右に尾を引きながらよけてくれている。
「2時方向、滑走路視認!」
見つけたのは2番機銃手の吉村軍曹みたいだ。
―こちら、パラオ管制。飛行場は視認できましたか?―
「こちら白鷺。今視認しました。」
―では、我々の誘導はここまでです。着陸後再び交信します。以上―
「感謝します。ありがとう。」
白鷺は一度、飛行場を離れ十分の距離を取ってから、もう1度旋回し、正面に滑走路を捉えた。
現在高度1,500m
高度を下げながら、速度が上がりすぎないように且失速しない程度にブレーキをかけながら速度を保っている。
「フラップ10度下げ。」
堀之内はフラップレバーを10度まで下げ、外野はやや下向きの機首を上げる。
外野が機首を上げるため操縦桿を引くと、フワッとお尻が浮く感覚がする。
「「キャッ」」
客室では、今まで体験した事のないような感覚に二人は小さい声を出した。
これが3度ほど着陸までに体験する事になる。
高度500m
「ギアダウン」
「ギア下します。」
高度計の横にあるギア(車輪)レバーをdownと表示された所におろすと、機内に地響きみたいな小刻みな振動が起こりながら車輪が姿を現すのがわかる。
フラップを最大傾角35度まで下した時、高度計は200mと表記されていた。
「右にやや流されています。」
1番機銃手の谷田部が視界が悪いコクピットに変わり的確な指示を送ってくる。
外野は左のフットレバーを踏み左に舵を切る。
「針路中央戻りました。このまま。このままー。」
「ファイナルランディング!」
高度100m・・・50m・・・30m・・・20m・・・10m・・・
―キュッキャー
メインギアが滑走路に触れた瞬間、小さな衝撃が機内に走った。
「リバース(逆噴射)!」
流星のエンジンスロットルに付けらているリバース装置を稼働させる。
―ゴオオオオ―
エンジン噴射を横に逃がす事によって機速は急速に落ちてきている。
客室の2人は無事に着陸できた喜びから拍手をしていた。
路面が水で濡れているため、大きな水飛沫が上がっている。
―ナイスランディングです。さすが、精鋭たちだ。―
「ありがとう、新井田さん。」
―スポット5番までタキシングしてください。以上で交信終了です。また明日。―
リバースを解除し、流星のエンジンをOFFにし、輝の1,4番のエンジン出力10%にした。
2,3番はアイドリング状態である。
滑走路から誘導路へと移り、さらにスポット5番の所で機体を建物側に向け、すべてのエンジンをアイドリングにして進む。
その先にマーシャラーが既に”オーライ、オーライ”と手を大きく振っている。
マーシャラーの手の振りが小さくになるにつれ速度も落として行く。
最後は、指揮者が演奏を終える時みたいに開いた手を円を描いてグーにした瞬間に停止。
「エンジンオフ。」
シートベルトサインを消して、機内用のマイクを取った。
―機長の外野です。ただいま、パラオ国際空港に到着しました。機内にお忘れ物のないようお願い致します。それでは、また明日お会いしましょう。―
2人はシートベルトと外し、席を立った。
タラップを降りると、2人はパラオ総司令とパラオ大統領に出迎えられた。
2人の泊まるホテルは、空港すぐ近くの「ロイヤルホテル」であった。
用意された車に乗り込み2人は空港を後にした。
2人が空港を去るのを窓越しに見ていた搭乗員達はようやく安堵の溜息を吐いた。
皆、鉛のように身体が重く誰も席から立とうとしない。
「大尉殿、俺たちもホテルに泊まれるのですか?」
神楽が遠くを見つめながら外野に訊ねている。
「いや、残念だが俺達が止まるのは空港内の簡易宿舎だそうだ。」
「そうですよねー。」
本当に残念そうに神楽の声は疲労感をさらに増した。
外野が重たい腰を上げると、皆も席を立ちあがり、自分達の荷物を持って宿舎へと消えて行った。
この日、搭乗員達は不満が寝るまで絶えなかったという。
守谷海岸はこんなところ 2009 年 10 月 7 日
第4話で堀之内の実家がある所は千葉県勝浦の「守谷海岸」という話をしました。
じつはここ・・・親父の実家だったりしてwww
これが守谷海岸です。1枚目の岩肌が見えている所まで遊泳可能で素潜りでおやじと一緒に昔はアワビやトコブシ、ウニなどをとったものですが・・・意外と波が高くて危険という事から最近は遊泳禁止になってしまいました。
この守谷海岸・・・実はサザエさんのOPの景色に使われた事があるのです!
なんでも、綺麗な砂浜BEST100に入ってるらしいですよ。
そんな所でも、近年来る人が減ってきているのは年に数回しか来ない私でもわかります。
アクセス方法
JR京葉線 わかしお号 東京から一本で上総興津に行けます(たまに停まらない特急があるのでご注意を)
これが菅島行く時に見た「飛鳥Ⅱ」です!
大きいですよねwww
あっ!最近、柳 広司先生の本にはまっていますw
大平洋戦争前つまり日中戦争ぐらいの時代に出来た日本陸軍のスパイ機関。
通称「D機関」を舞台にしたスパイ物語。
すごく面白いです><
ぜひ読んでください!
Angel’s Ladder (天使の梯子) 第4話「take off」 2009 年 10 月 5 日
しろんご浜に11人の搭乗員の姿がある。
皆、その海の綺麗さにもれるのはため息ばかりであった。
「こりゃ~本当にきれいだ!お前の地元の海もきれいだったが、ここは段違いできれいだな~。」
白鷺の機長 外野が声をはずませて、話しかけているのは副操縦士の堀之内である。
外野は新しい仲間になる者の顔を見たさに京都から自宅療養していた堀之内の地元の千葉の勝浦に足を伸ばしたことがあった。
詳しくに言うのであれば、勝浦の上総興津という駅近くにある。
そこも『守谷海岸』という名の元、白い砂浜と綺麗な海を売りにしている小さな町であった。
「えぇ、綺麗ですね!私の町より断然。夏場に一度来てみたいものです。今は寒くて潜れませんが、夏場なら皆さんにアワビやウニなどを振舞う事が出来るかもしれませんね。」
珍しく堀之内も声をはずませながら話している。
「こいつは素潜りがうまくてな。30分もしない間にアワビやウニを沢山採るんだ。それを肴に夜は飲んだんだが、そりゃあ贅沢だったなぁ。」
外野がはるか遠くを見つめながら思い出話をしている。その話を聞いていた9名の搭乗員達は「んぐっ」と喉を鳴らし、堀之内の方を見た。
「わかりましたよ・・・。今年の夏に家に遊びに来て下さい!盛大に歓迎しますから!!甘口の地酒で一杯やりましょう。」
負けました。という感じで堀之内は両手を挙げると「やった!」「おぉ~!」という歓声が上がる。
「私もそれに混ぜてもらおうかな。」
後ろの方から声が聞こえ、振り向くと長身の男が立っている。
「煌武院 博仁様に対し敬礼!!」
いち早く外野が号令をかける。
「敬礼は良い。」
「ハッ!」
「硬くなる必要もない。」
皆、引き締まった良い表情をしている事に博仁は安心をおぼえた。
「あの、私どものに何かご用でも。」
「明日から娘の命を預かる搭乗員達の顔を見に来たが2割、作戦の変更点を教えに来たのが8割といったところか。」
その8割を聞くために彼らはしろんご浜を後にしたのだった。
そして、作戦決行日を迎える。
「諸君、これより神島に向かい煌武院京華様を迎えに行く!第1エンジン始動!」
「第1エンジン始動!」
第4エンジンまでの輝1型エンジンがアイドリングを始めた。
「回転数、油圧、共に正常!」
機関員の神楽が声を上げると、外野がスロットルレバーに手をかけ出力を上げる。
ゆっくりと機体は上下に揺れながら停泊所を離れ、外野はさらに出力を上げた。
菅島から神島までは連絡船で30分ぐらいなので、白鷺では20分ぐらいの距離にある。
ただ、飛ぶような距離ではないので一定速度で海を走っている。
「しっかし、機長。」
電探士の早乙女 勇少尉の声が操縦室内に響いた。
「なんだ?早乙女。」
「これじゃあ、何のための飛行機かわかりませんね。」
「文句を言うなよ~。皆、同じ気持ちだ。」
「こんなんだと、11人乗りの足漕ぎボートとなんも変わりませんね。」
早乙女は漕ぐマネをしながら話している。そのしぐさに皆が大笑いをした。
堀之内は、一瞬一式陸攻に乗りながら皆で談話していた頃を懐かしく思い出していると、前方に神島が姿を現した。
エンジンの出力をアイドリング状態にし、接岸準備にかかる。
速度が落ちた所で堀之内が座る右側の一番外側の窓と後部の出入り扉を開け、ロープを取り出す。
さらにブレーキをかけ、速度が5キロ以下になった所でロープを神島の接岸要員に投げて縛ってもらう。
ブレーキを最大にし、エンジンを切ると接岸完了となった。
前部にもある扉を開け、搭乗員11人が駆け足で機外に出て横1列に整列をする姿は軍人の中の手本とも言うべきであった。
外には、大きなカバンを持った飛行服姿の女性2人と昨日会った煌武院博仁、その横には小太りの老人が一人、さらに彼らの後ろには全島民が御見送りに来ている。
「きぃをーつけー!」
張り切りすぎなのか、外野の声が裏返っていたが誰も笑う者はいない。
「煌武院様ならびに島民の皆様に対し敬礼!!」
ザッ。一糸乱れぬとはこういう時に使う言葉なのだろう。うしろの島民からは拍手がおこる。
「外野以下11名煌武院京華様をお迎えにあがりました!」
「うむ。」
満足そうに博仁がうなずく。
「私が、煌武院 京華です。1人ずつ名を教えていただけますか。」
京華はピンクの飛行服に白のマフラーを巻いている。
「京の花になれ」という意味で付けられた名前の如く彼女の美貌に外野までもが一瞬見とれてしまうほどであった。
「機長を務めます外野です!」
言い終えると敬礼をした。すると京華は「お願いします。」とお辞儀をする。
「副操縦士の堀之内です。」
「機関士の神楽です。」
「電探士の早乙女です。」
「航海士の友野です。」
「通信士の皆川です。」
「1番機銃手の谷田部です。」
「2番機銃手の吉村です。」
「3番機銃手の福江です。」
「4番機銃手の奥村です。」
「5番機銃手の鈴木です。」
そして、締めに外野がもう1度
「以上11名が煌武院京華様をハワイまでお連れいたします!」
「待ちなさい!!!」
突然、後ろの方で怒鳴り声が聞こえた。
「貴様、煌武院様の前でマフラーをして顔を隠しているのは何様のつもりだ!!!」
小太りの老人が1人の男に詰め寄ってくる。
「・・・・。」
詰め寄られている男は無言のまま喋ろうとしない。その態度は、老人に火に油を注いだ。
「マフラーをとらんかい!!」
詰め寄る先にいるのは堀之内がいた。
「御言葉ですが・・・。」
すかさず外野がフォローにいるが、老人の名前が出てこず口籠ってしまった。
ゴホン、と咳払いをした煌武院 博仁が話に割って入る。
「よい。高橋。その者のマフラーをするのは昨日のうちに許可しておる。」
「煌武院様が許されても島民の長である私が許可しておりません!!」
高橋が言い放った瞬間、(こいつが長か。)と恨みが込み上げてきたのは堀之内だけではないだろう。
間を入れずに外野が、もう1度フォローをする。
「高橋様。こいつは、先の第3次ソロモン海戦で顔に深手の傷を負っております。最初は隠してはいませんでしたが、京の街では白い目で見られ、子供にはお化けや妖怪呼ばわりをしたきっかけでマフラーで顔を隠すようになったのです。今回の作戦に関しても、不快な思いをさせないために・・・」
「もうよい!!」
外野が言いかけの途中で高橋が止めた。
「まったく、これだから飛行機乗りは・・・・」
老人特有の聞こえるように言う独り言は、11名搭乗員を怒りで震えあがらせた。
「堀之内とやら、傷を見てもよろしいですか?」
落ち着いた口調で話す女性の声に沸騰寸前の搭乗員達を冷ますのには効果てきめんだった。
「・・・はい。」
堀之内はゆっくりマフラーを下におろした。
「うっ・・・。」
「昨日見たとはいえ目は慣れんな。」
月詠に関しては後ろを向き口元を押さえている。
京華は目を大きく見開き、今にも涙がこぼれそうな顔をしている。
同情か、それとも恐怖か。当然、後者であろう。
「・・・触ってもよろしいですか?」
「・・・お勧めはしませんが、煌武院様がよろしいのであれば。」
身長が10センチ以上高い堀之内はやや屈み、触りたいのならと頬を差し出す。
「なりませんぞ!!悪い物がうつってしまわれますぞ!!」
「黙りなさい。高橋。」
京華は高橋を一括すると、左手を堀之内の赤黒く変色した右頬へと伸ばす。
「・・・勝手な振る舞いで被害に遭われるのは、私達ではなくあなた達なのだと肝に銘じておきます。あなたの事は忘れないでしょう。」
「先に死んでいった多くの仲間が今の言葉で救われたと思います。」
堀之内は深々と礼をし、再びマフラーで顔を半分隠した。)
「それでは、お父様行って参ります!あっ!そうでした。私の母親代わりで世話役の月詠 久美子です!」
「月詠です!よろしくお願い致します!」
月詠が深々と礼をすると搭乗員達は敬礼で応えた。
「では、改めて御父様行って参ります。」
「うむ。京華、ハワイでは社会勉強をしてこい!イルカばかりにうつつを抜かすなよ!」
「わかっておりますわ。」
「それと・・・」
博仁は3通の手紙を差し出した。1通は京華宛。残る2通は月詠宛だ。
「私達は準備がありますので先に行かせていただきます!」
外野が博仁に話しかけて、許可を貰うと11人の搭乗員達は足早にタラップを駆けて行った。
2人もゆっくりとタラップを歩き始め、機内に入る。
京華と月詠が振り返ると遠くに父親の姿が確認できた。
小さく手を振ると、父親は子供みたいに大きく手を振り返した。
「扉閉めます!」
鈴木の掛け声で外側に出ていた扉が機械音と共に締まりはじめる。
これで外の世界とは寸断された。
2人は近くにある収納スペースに旅行カバンを置いた。
収納スペースの隣には「Rest Room」と「Shower Room」があるのが確認できる。
その先にドアを開けると客室に繋がる。
手前には簡易キッチン。真ん中には座席。奥にはベットが4つあった。
まさに空飛ぶHOTELである。
2人は島が見える右側の最前列に座った。窓からは父が島民に交じり手を振っているのが見える。
「月詠。私は飛行機乗るの初めてで凄く不安なんです。いや、怖いというのが正しいのかもしれません。」
シートベルトを締めながら京華は自分の思いを月詠にぶつけた。
「実は私もそうなんです。昨晩なんかあまり眠れませんでした。」
月詠は京華に顔を近付けて小さな声で話しかけている。
「魔の15分。」
「え?」
「離陸してからの15分と着陸するまでの15分が1番事故が起こるのでこう呼ばれているそうです。昨日、神島の元操縦士に話を聞いてきました。」
「月詠の手を借りてもいいですか?」
「私もその方が安心できます。」
そして、2人は手を繋いだ。それも恋人繋ぎで。
そんな2人の心境を知らない操縦室内では・・・・
「各部点検異常なし。それにしても、綺麗な方でした。あんな方となんって想像するだけでご飯が進みますね!」
機関員の神楽が独り言なのかかまって欲しいのかわからない言葉を投げかけた。
食いつくのは当然、機長の外野であった。
「馬鹿。あぁ~いうのはな、俺の息子に似合っているんだよ。」
「あれれ~。大尉殿の息子さんはまだ3歳ですよね?そんなんじゃ嫁というよりママですね!」
操縦室には笑い声が響いた。
「さっ!エンジンかけるぞ!気を引き締めろよ。」
外野がスロットルレバーの下にある1番エンジンのスイッチをONにすると「ガルン」という音と共にエンジンが回転を始める。
4基ある輝1型エンジンが稼働すると
「取り舵10度。」
と外野は堀之内に命令をする。
機体はゆっくりとハンガーを離れ、沈んでいた機体が少しばかり浮き上がる。
神島の港が小さくなった所で光菱製 流星11型を機動させる。
神島より外海に出ると波が高くなり危険であることから内側に機体を回頭させる。
「フラップ10度下げろ。」
堀之内はフラップのレバーを10度と書かれた所まで下げると、機械音と共にフラップが展開される。
―ポーン ポーン―
「京華様、どうやら離陸するみたいです。」
「地に足がつかないというのは、言葉以上に不安ですね。」
―機長の外野です。まもなく離陸いたします。シートベルトをもう1度ご確認ください。―
アナウンスに2人は慌ててシートベルトをきつく締めたのであった。
「いくぞ!」
外野は輝のスロットルレバーを、堀之内は流星のスロットルレバーを握る。
機関員の神楽は2人の手の上に手をおく。
神楽の手の力で出力を上げる傍らエンジンの回転数、油圧などの計器からは目を離さない。
機体がやや斜めになりながら滑水している。輝の出力100%。流星の出力90%になった所で神楽は手を放す。
「40ノット」
「80ノット」
堀之内が速度計に目をやりながら声を出している。
「回転数安定。油圧30、タービン内温度正常。」
機関員の神楽が計器が正常に作動している事を告げる。
「補助動力装置始動!」
「A/B(アフターバーナー)点火!」
流星の出力を100%にすると機体はさらに上向きに傾き、離陸するのを今か今かとせかしている。
「V1・・・VR・・・・」
操縦桿を引くと震動が消えた。
「高度5000mまで上昇する。」
離陸から40分余り。
焼津上空
魔の15分は普通に過ぎて行った。
初めての離陸の時はお互い言葉も交わさず、目を閉じていたが今は普通に談笑していた。
―機長よりお客様へ。左側の窓を御覧ください。左手に見えますのは日本が誇る富士山で御座います。富士山の標高は3776m、今私達が飛行している高度は5500mで御座います-
外野アナウンスを聞いた2人は、シートベルトを外し左側のシートへと移った。
2人が窓を覗き込むと眼下には雪化粧をした富士山が見える。
「綺麗ですね~。火口まで見えますね。」
月詠が感想を言う。
「搭乗員の方達は、こういう景色を1人占めしているのかと思うと嫉妬してしまいますね。」
京華も感想を述べた。
2人が富士山の話をしていると機体こそ傾いてはいないが、右へ右へとずれて言っている。
富士山が見えなくなると2人は、また談笑を始めた。
「そういえば、お父様から渡された手紙を読みましたか?」
「いえ。しかしなぜ、私だけ2通なのでしょうか。」
「1通は、離陸した時用なんて書かれてましたから今読まれては?私は構いませんよ。」
「では、失礼して。」
月詠は「離陸した時用」と書かれた手紙をポッケから取り出して読み始めた。
その手紙の内容に月詠は顔を赤くして震えあがった。
「どうやら、月詠をこれからはお母様と呼ばなければいけないみたいですね。」
微笑みながら京華は月詠に話を振る。
「な・・・・な・・・めっ、滅相もないです!それに私はOKした訳じゃありませんし、父がそんなこと許すわけがありません。」
「あら・・・。お父様は昨日の時点で、月詠のお父様に了解を得たと言っておりましたよ。だから、後はあなた次第です。」
「うっ・・・・少し、考えさせて下さい。」
月詠は、クスクス笑う京華が小悪魔に見えたに違いない。
さらに3時間後
沖ノ鳥島付近 上空
宿舎の方に作ってもらったお弁当を食べた搭乗員達の気持は緩みきっていた。
―コンコン―
「ふぁ~い。」
操縦室の一番手前に陣取る航海士の友野が欠伸交じりの返事で応える。
「失礼します。」
「こっ、煌武院様!!」
眠気覚ましの到来に緩みきっていた空気が一変。緊張した空気へと変わった。
友野の声に操縦室にいたほとんどの者がシートベルトをしたまま立ち上がろうとした為、立ち上がる寸前に椅子へと引っ張られていた。
特に外野は隣にいた、堀之内に「操縦桿は放すな!馬鹿!」とゲンコツをお見舞いしていた。
そのやり取りを見ていた京華は、よほど面白かったのか口に手を当てクスクスと笑っている。
「煌武院様、前を向いたまま失礼します。私達操縦士は常に前を向いてないといけないので。」
「構いませんよ。勝手にお邪魔して申し訳ありません。勝手ながら御茶とお茶菓子を持って参りました。」
「御心遣い感謝します。」
話し終えると、京華は1人ずつにお茶とお茶菓子を置いて行く。
お茶菓子は伊勢名物の赤福であった。
赤福は戦争中高価なお菓子として売られていた為に一般人には手が届かないものだった。
皆の口から漏れるのは「美味しいです。」の一言だけであって当然である。
「後ろの方達には月詠が渡しおります。」
「「「御馳走様です!」」」
普段食べれないものを食べれた搭乗員達は満面の笑みで礼を述べている。
その姿は、子供達が綺麗なお姉さんにお礼を言っているようにも見えた。
「煌武院様、お礼と言ってはなんですが、この『白鷺』について説明して差し上げます。」
「まぁ~。」と喜ぶ京華に案内役を命じたのは・・・
「おい、堀之内!」
俺と指さす堀之内に外野は早くしろと首を振った。堀之内はシートベルトを外し、京華に歩み寄る。
他の人たちの視線は殺気に満ちているのは気のせいではないだろう。
「では、まず、操縦室について説明します。」
「はい。」
「友野は航海士です。太陽の角度などから我々の今いる現在地を割り出してくれます。アメリカさんだと既に電探誘導が可能らしいのですが、我々はないのでこのような方法をとっています。」
「今はどの辺なのですか?」
「沖ノ鳥島より南に20キロ上空を飛行中です。」
「次は、通信士の皆川。その名の通り、通信をします。」
俺の説明はやけに短いなと聞こえたのは気のせいだと信じたい。
「次は電探員の早乙女。電探で敵を見つけます。周波数がそれぞれ違うので、気が抜くことがなかなかできない仕事です。」
「はい。」
「次は、機関士の神楽ですね。」
「すごい計器の数ですね。」
「エンジンの回転数から燃料計まで様々な計器に目をやっていないといけません。そして、最後に大尉殿と私の仕事場の操縦です。」
「先程と違って、大きな計器が多いですね。」
「そうですね。私達が主にみる計器は2つ。速度計と高度を示している高度計です。」
「この6本の棒はなんですか?」
「左側の4本は翼に取り付けられたエンジンの出力レバーで、右側の2本は後部についているエンジンの出力レバーです。」
「では、この窓にある数字は高度計の指す高度と同じ数字ですけど・・・。」
「よく気付かれましたね。これは自動操縦の際、この高度計(窓にある方)に設定した高度まで上昇してくれる新型の計器です。今は10000メートル上空を飛んでいます。」
堀之内は外野の方を向きアイコンタクトで許可をもらった。
「今日は特別です。今から煌武院様が高度10000mから10100mまで上昇してください。」
「いいんですか?」
声をはずませて言う京華に対して
「だから、特別です!」
と堀之内は言う。
「計器の下にある黒い丸いやつを右に回すんです。」
「こうですか?」と言いながら回すと高度計は10100mを指した。
すると機体は、すぅと下から何かに押されるように高度を上げた。
自分が予想していたものより違ったのか、京華は「きゃっ」と小さい声を出して堀之内の方によろけた。
堀之内は抱きとめた時の周りからの視線は完全に殺意であった。
(こりゃあ後で殺されるな。)
京華も素早く堀之内から離れた。
「そういえば、この上にある2体の御人形はなんですか?」
「あ~これですか。私の母が南に出兵する際に持たせてくれたものです。実はこれ、武運長久のお守りじゃなくて恋愛成就のお守りなんです。」
「あら。好きな方がいるのですか?」
「いえ。これは、離れていても一緒だよという意味らしいです。だから母親が好きな人がいるときは2体のうちの1体を渡しなさいと言われました。私は恋人がいないので、2体とも持っていったらこれが意外と弾をよけてくれるんです。私が大けがした際も、この人形は無傷でした。だから、今回の任務もきっと大丈夫です。」
「へぇ~、良いお話ですね。」
「いやぁ~堀之内はオカマなんですよ!だから、渡す相手がいないんですよ!」
感心しながら、京華が話を聞いていると早乙女がこれ見よがしに攻撃を加えて来た。
皆声に出して笑っている。堀之内は完全に1本取られたのだ。
「い、以上で機内の説明を終わります。パラオまではあと3時間半ほどです!御用の際は、また来てください。」
京華は軽く礼をし、手を振ると、皆が手を振った。
静かに扉を閉めると、中は戦場に変わっていたに違いない。
つづく
※写真はしろんご浜です
Angel’s Ladder(天使の梯子) 第3話「dream」 2009 年 10 月 3 日
夢は常に追い続けるもの
だが、1つ道を間違えれば夢ではなく『欲望』へと変わる
昔は青かった空も今は人々により紫色へと変わってしまった
そんな私の心も紫色に満ちている
生きたいという欲望に満ちているのだから
―とある海軍搭乗員の日記より抜粋―
1月3日 午前9時 大津(天虎)水上飛行場
この日の天気は晴れていた。
だが、風が強い。
その湖の片隅で必死に風を掴もうと羽根を伸ばしている様に見える機体があった。
三式大型輸送艇 『白鷺』である。
白鷺は整備兵たちによって綺麗に吹かれ、機体の色である白をより一層際立たせていた。
任務が通達されてからの仕事はかなりのハードさだった。
まず、下部2門と上部1門の計3門の対空銃座が外された。
これに伴い搭乗員も14人から11人となった。
次に搭乗員は各部に異常が無いか、整備員と共に夜遅くまで点検に追われていた。
そして、今日1月3日彼らは神島へと向かう。
外野機長以下11名は一週間分の着替えが入った袋を右側に置き、指揮所の前で整列をしていた。
「外野以下11名整列をいたしました!」
外野が緊張した顔をして声を張る。
外野の向く方向には、司令ともう1人日本の国民ならだれもが知る人がいる。
その人がいるために司令も緊張した顔をしていた。
「ふむ。」
白髪の髪をしている 日本帝国 政威大将軍 斑鳩誠治が一歩前に出て話し出す。
「諸君。まずは、あけましておめでとう!」
「「「「おめでとうございます!」」」」
「皆、司令から聞いておられると思うが今の五摂家は不穏な空気に包まれておる。本当に君たちを巻き込む事に私は心苦しく思う。そして、この任務は我が日本帝国の国運を左右するほど重い。生きて日本に帰ることが君達の一番の任務であることを肝に銘じておくように。最後に君達は神島ではなく菅島に泊まっていただきます。」
斑鳩の最後の一言に搭乗員は少し戸惑いを見せた。
「神島の長が君達の宿泊を許可しなかったのだ。申し訳ないが、飛行機も菅島に停泊させてもらい、明日の朝に神島に行ってもらう形になった。」
苦笑いしながら斑鳩が釈明をする。
「ま、まぁ~あそこの長はちょいっとひねくれてる部分があるからな。ちょうどいいかもしれない。菅島には日本有数の海岸、しろんご浜がある。時間があれば見ておくといいだろう。以上だ。」
結局、斑鳩が勝手に話を丸めてしまった。
誰も盾をつける訳もないから、仕方ないのだが。
11名は斑鳩に敬礼をし、白鷺に向かい、一路「菅島」へと進路を向けた。
そして、津上空付近
「なぁ~堀之内、お前この任務が終わったらどうするつもりだ?」
沈黙が嫌いな外野が操縦桿を握りながら話しかけてくる。
「逆に、大尉殿はどうされるんですか?」
戦争に負けた国は、必然的に軍縮を求められる。
それは、斯衛軍も例外ではなかった。
終戦日から退職者を募集している。
軍に残りたいと思っても、選考を通らなければ残れない。
いわば失業者であふれるのだ。
「ん?俺か。俺は、辞めようと思う。」
外野の一言は、操縦室にいる誰もが驚いた。
「大尉殿、それは本当ですか?」
機関員の神楽少尉が話に割って入ってきた。
「あぁ、本当だ。」
「どこかに働く先でも?」
「知り合いの金持ちが、航空会社を設立させるのに合わせてパイロットとして雇ってもらうんだ。だから、お前等が良ければ相手に伝えておいてやるよ。」
その一言に操縦室にいる者は「おぉ~」と反応した。
一人を除いて。
「私は、斯衛に残ってみせます。なんとしてでも・・・」
「お前は俺と飛ぶのが嫌か?それとも・・・」
「・・・・。大尉殿は夢はありますか?」
「愚問だな。俺は平和な空を世界中飛ぶことだ。」
「私にはもう夢はありません。だから、妹や弟たちには夢を持って生きてって欲しいんです。その為にも金が必要。軍隊にいれば、必要最低限の金さえ引けば沢山の金が仕送りできると思ってるのです。これまでのように・・・。」
もう堀之内は自分の事は考えていない。
その時化た考え方に外野は一瞬怒りかけたが、ぐっと堪えた。
外野は、当時自宅療養中の堀之内の実家に一度訪れたことがあった。
そこそこの家を千葉の勝浦に持っていたが、下には15歳の妹10歳の弟、それに9歳の妹がいた。
みんな食べざかりな年頃で学校に皆通っていた。
そう考えると、死んだ父親や兄に変わりに夢を捨て、一家の大黒柱にならなきゃいけないという気持ちからあんな風になってしまうのはわからなくもなかったからだ。
戦争は本当に残酷だ。と心の中で呟いた外野は話題を変えようとした。
「前方に佐田浜港視認!」
前方にある1番機銃手の谷田部軍曹から声が無線を通じて聞こえた。
「了解。これより着陸態勢に入る。各員シートベルト着用!」
外野が号令をかけると皆慌ただしく着陸態勢に入って行った。
―-----------------------------------
同日 午前11時30分 神島港
1隻の連絡船が島へと接岸する。
元斯衛軍であった人や付き人をしていた人々、いや、今は神島の島民に交じって一人の長身の男が下船してきたと言ったほうがいいだろう。
煌武院京香の父親で帝国情報省の長でもある煌武院博仁だ。
「あけましておめでとうございます。お父様。」
港まで娘の京華が迎えにきている。
「おめでとう。いよいよ、明日だな。だから、一言いいにな。」
クスクスと笑う京華をみて父は胸を撫で下ろした。少なくとも任務の重さに硬くなっていることはないみたいだ。
「最初に神社で初詣をしてから家に行く事にしよう。」
博仁が言うと京華は小さく頷いて父の後を歩く。
京華は神島に来てから毎朝八代神社にお参りをしていた。だから、初詣は済ませてあったがそこは口にせず博仁の後ろを歩く
煌武院邸は八代神社の近くにある。
八代神社に行くためには214段目の階段を昇らないといけない。
最初のうちは、普通に上がれるが徐々に足に乳酸が溜まりはじめると1段1段上がるごとにダン、ダン、っと足音を立てはじめた。
いつしか京華は先を歩いていた博仁を抜いている。
214段目の半分の所には鳥居がたてられており、たいがいの人はそこで一息入れるのが普通だ。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!」
肩で息をしている博仁が先を歩く京華を呼びとめた。
「どうやら、お父様の事をこれからはおじい様と呼ばなければなりませんね。」
京華の冗談に普段なら「やかましい」と笑いながら言うのだが、そんな余力は博仁にはなかった。
冗談を言う京華は余裕そうにも思えるが、彼女もまた肩で呼吸をしている。
「ふぅ~。俺もそろそろ運動しないといけないかもしれんな。ところで、京華はシャチの研究で何を得ようとしているのだ。」
「う~ん。世界中のシャチの食生活が気になりますね。人間だって、住むところが違えば食べ物も違うように彼等も違うはず。それかシャチとイルカの共存ですね。」
「ほぉ。・・・だが、」
そう博仁が言いかけたが、一瞬口籠ったが再び口を開いた。
「わかっていると思うが・・・」
「わかっています。・・・それが、運命なのです。」
彼女はわかっていた。たとえ研究員が出来たとしても、その命が短い事に。
五摂家の人間として産まれたのだから、いつか父に変わり煌武院家の主となる。そうなれば、研究員は出来なくなることを彼女は理解していたのだ。
「お前に話さなければいけないことが一つある。」
博仁はいつになく真剣なまなざしで京華を見つめる。その表情から彼女の表情も自然と締まった。
「実はな・・・」
突然、轟音と共に着水態勢に入っている飛行機が2人の目の前を横切った。
「あれが、明日からお前が乗る輸送艇『白鷺』だ。搭乗員達は菅島で泊まってもらうんだ。」
「・・・かなり大きいですね。」
「日本の技術を総結集させた機体だ。」
「そういえば、お話というのは?」
あっ、そうだった。と思い出し、博仁は京華に話し出した。
何の話かは後に分かるので今は書かない。
だが、京華は無邪気な笑顔で博仁の意見を了承したということだけ今は書いておこう。
無邪気な笑顔にほっとした博仁は再び階段をのぼりはじめた。
明日はいよいよ出発の日。
初日の停泊地はパラオ。
このあと、親子と付き人である月詠の3人で遅い正月料理を食したのだった。
つづく
Angel’s Ladder(天使の梯子) 第2話「starting bell」 2009 年 9 月 12 日
世界は毎日発達し
毎日新しいものが産声を上げる
その度に
人の心は腐り
大切なものを手放していく
1月1日 午後15時 大津水上飛行場
大平洋戦争は終結した。
海軍の指揮所や宿舎からは
「徹底抗戦!!」「いや、もう我々には・・・」
などと様々な意見が飛び交っているのに対し、斯衛空軍の宿舎は静かであった。
宿舎と言っても、白鷺の搭乗員の為だけに作られたものであるがために大きくもなく小さくもない。
遠くから見たら木造2階建ての一軒家といったところであろう。
搭乗員全員が1つの長いテーブルに集まっている。
テーブルの真ん中には2本のダルマ(サントリーウイスキー)が置いてあり、皆でチマチマ飲んでいた。
「戦争終わりましたね。」
先程から同じことしか言わないのは、機関員の神楽圭少尉である。
「おまえ、さっきから何度目だ?耳にたこが出来ちまうぞ。」
機長の外野が軽い冗談を言うと、皆が苦笑いをした。
「家族か…何年振りだろうな。元気にしてるかな。」
後部銃座の福江軍曹がつぶやいた瞬間、みな物思いにふけてしまった。
「おうおう、みんな逸る気持ちを抑えろよ。じゃないと、任務に支障が出るぞ。」
外野が言いかけた時、宿舎の扉が開く音がした。
「その通りだぞ。先程、大久保総司令殿から貴様ら宛に任務が下された。」
宿舎に入ってきたのは、ココの司令官の板橋 久光中佐である。
「けっ、敬礼!!」
慌てて、外野大尉が搭乗員達に声をかけ、皆も慌てて敬礼の姿勢を取る。
「お前等も、学習能力がないな。敬礼はいらんといっただろう。座れ。」
福江中佐は、民間航空の出身で2年前までは南方の地でアメリカ産のDC-9で輸送任務をしていたらしい。
そして今では白鷺の教官も務めている。
「俺にも1杯くれるか。」
板橋が言うと、3番機銃手の福江軍曹が奥からグラスを1つ取って来て司令にダルマを注いだ。
司令は注がれたダルマを一気に飲み干す。
「ん~っ。ダルマも良いが、俺はジョニーウォーカーの方が良いな。外野もそう思うだろ?」
「そりゃあもう。ところで、司令殿、皆任務の内容を知りたがっていると思うのですが・・。」
外野の問いかけに「そうだった。」と胸ポケットから司令が書かれた手紙を取り出し、外野に渡した。
「お前が読め」という事を察した外野は司令から手紙を受け取り、皆に聞こえるよう少し大きめに声に出して読み始めた。
「発 帝国斯衛軍総司令 大久保 浩一郎
宛 白鷺 搭乗員
1月4日 鳥羽 神島 デ 煌武院 京華 日本帝国全権大使 ヲ 乗セ ハワイ パールハーバー ニ 飛ブ事ヲ 任ズル。」
外野は手紙を閉じ、皆の顔を見渡すと意外と普通の顔をしていた。
輸送機を任されている以上、ある程度は予想出来たことだった。
しかし、司令の一言が皆の表情を一変させる。
「しっかし、こんな危険な任務だとはなぁ~。俺がお前らだったら降りていそうだ。」
「司令?これは危険な任務なのですか?戦争は終わりました。なのに危険とは・・私は理解できかねないのですが・・・。」
間を入れず、外野は司令に問い詰める。
「そうか~。貴様らは知らなかったんだな。この日本の実情を。」
重たい口調で司令は五摂家の事などを話した。
九条忠勝が右派であり、海軍や陸軍に大きなパイプを持っていること
五摂家の中で一番力があること
今回の事を利用し、再び戦争を始めようとしていること
話し出したらキリがない、日本の実情を話した。
もちろん外野の様な一般軍人は勿論市民すら知らない事を司令が知っていた事には驚いたが、何よりも自分達の任務の重さに皆酒の酔いなど忘れ、顔は青ざめていた。
「一応、計画を阻止しようと他の摂家の方々は知力を尽くしてはおられるらしいが相手の方が一歩上を行っている状況だろう。」
「司令、考えてみたのですが・・・」
堀之内が司令に1つ質問をした。
「白鷺の航続距離ではハワイまでは厳しいと思うのですが、経由地はどちらになるのでしょうか。」
「まだ、伝達は来ておらんな。数日かけていくのだろう。陸海軍に悟られぬよう前日に通知が来ると思うな。それに斯衛軍が統治している所なら少なくとも危険値は下がる事から、一日目は大よそパラオ諸島あたりだろう。」
「飲んでいる場合じゃないですね。」
外野が苦笑いをしながら司令に言うと
「そうだな。だが、飲酒運転はやめてほしいな。明日の昼にでも対空訓練を始めるよう各自体調を整えておけ!俺は京に行き総司令殿に会ってこようと思う。」
「「「ハッ!」」」
司令の呼びかけに搭乗員全員が起立をし、敬礼をした。
その表情が引き締まっていることに満足した司令は宿舎を後にし、1人京へと向かって行った。
-----------------------------------
同日 午後17:30 鴨川の某料亭
陸軍大臣 北条英機はかつてに経験した事もない緊張感を味わっていた。
その隣の海軍大臣 島田繁太郎は緊張はしているものの、北条と違い少し余裕とも感じられる笑みを浮かべたりしていた。
2人の視線の先にいるのは、五摂家の1人九条忠勝である。
「まったく、陸軍は世界に醜態をさらしおって。」
九条の表情は怒りに満ちていた。
「九条様、この度の不手際申し訳ありません。この北条、腹を切れと申されればこの場にて腹を切る所存であります!」
北条の禿げた頭には冬にも関わらず、汗がにじみ出ている。
北条は腰につけている短刀を自身の前に置いた。
「お前にはそんな勇気はなかろうに。部下には死ねと言えるのに自分は相手に命乞いをする小心者じゃろうが!」
見下した声が北条に向けられる。
「・・・・。」
北条は返す言葉が見つからない。
「もうよい。時間の無駄じゃ。どうせ、貴様らは軍事裁判にかけられる。」
九条の一言に余裕の表情を見せていた島田までもが凍りついた。
「島田、お前さんたちの手はずは整っておるのだろうな。」
「はっ・・・はい。天候の問題で一時は遅れておりましたが、明後日には現場海域に到着するものと思われます。」
島田は動揺が隠せないでいる。
「そうか。大使の出発は3日後の1月4日となっておる。皆に一層の努力をするように伝えておけ。」
「「ハッ!」」
その後も3人は綿密な計画の打ち合わせを行った。
打ち合わせの計画が終わったのは、19時を告げる鐘が鳴り響いたときであった。
これが、すべての始まりを告げる鐘の音となった。
What’s Happened? 2009 年 9 月 10 日
今から一週間ほど前、仕事がひと段落をしAngel’s Ladder(天使の梯子)第2話「starting bell」を書いてうpした予定でした。
昨日、第3話「dream」を書こうと思い、サイトに繋ぐと・・・・
投稿数10(うpしていたなら11のはずなのに・・・)
あれ?
あれれ?
(゚□゚;)アワワ(;゚□゚)アワワ
(゚□゚;)アワワ(;゚□゚)アワワ
下書き保存もなし・・・・
オワタ。。。。
という経緯がありました。
第2話は今ネタ帳を見ながら思い出しています。
もう少々お待ちを(A;´・ω・)フキフキ
御口直しにハワイのオリジナルのお話をww
===================================
1827年 12月 ハワイ オアフ島 ハレイワビーチ
ハワイに住む人間からすれば冬は肌寒い。
それでも、英国や米国、仏などに比べたら温かく過ごしやすいのかもしれない。
そして、オアフ島の北側に住む人間は今が最も熱いシーズンを迎える。
サーフィンである。
このマリンスポーツは、ハワイ王国を統治するカメハメハ大王(物語の年ではⅡ世)などの高貴な人々の遊びであった。
それが市民たちの間にも流布し、ハワイ独自のマリンスポーツへと変わっていった。
だが、王が乗る波に市民が乗ると死刑が下される。
それを避けるために、金のない下流層の人達は良い波が来る所より離れた場所で波に乗るのだ。
ワイメアビーチから歩いて10分ぐらいの所に1軒の家がある。
この物語の主人公 kimo (キモ:ハワイアン語でJim)21歳が住む家である。
彼もまたサーフィンに取りつかれた1人であった。
港が賑わう春から立秋あたりにかけて住み込みで仕事をし、貯めたお金で此処ワイメアビーチを冬を過ごしていた。
キモの様な生活を送る人は少なくはなく、朝8時ぐらいになると場所の陣取り合戦を行わなければならない。
だが、冬にサーフィンに明け暮れる者の大半は妻子を持たない若者に多かった。
キモは扉の叩く音に目を覚ました。
「おーい!キモ!起きているか。」
毎日の様にキモを起こしに来るのはサーフ仲間のli io(リオ=小さな鷹)である。
キモは眠たい目を擦りながら扉を開けた。
「おはようさん(ハワイ語で言うならAloha kakahiaka)。」
「お前、昨日あれだけ飲んだのに全然酒が残っていないな。」
2人は昨日夜遅くまで酒を飲んだ。
喋っていたのは9割がたリオの方だったが、どんな話をしたかあまり記憶がない。
(たしか、サーフィンをしているAnela(アネラ=天使)に惚れたとか・・・)
そんな事を考えても仕方ないと首を横に振ると気持ち悪さが増したような気がした。
「へへっ!海を愛する者は酒には強くなきゃいかんからな。」
リオの爽やか過ぎる笑顔に身体がどうにかなりそうだった。
「今日の状況は?」
身体がどうにかなる前に俺はリオにいつもの言葉を投げかける。
「波か。今日は良いぞ!嵐が近い気もするが、中々良い風が吹いていて波も高い。初心者が出来ない程度にな。だが・・・」
「だが・・・?」
「時間はもう昼近い。俺らの場所はないだろうね。実はさ、俺も二日酔いだ。朝起きてから家を出るまで桶が手放せないぐらい酷かった。海風に当たったら治ってきたよ。」
「とりあえず、行ってみるか?」
キモの誘いに「当たり前だろ!」と背中を強く叩かれた瞬間、胃の産物が口から噴出したのだった。
リオのボードは、キモの家に置かれている。
2人は着替えて、シャツとズボン姿になるとショートボードを片手に抱えて海へと歩き出した。
今と違い、サーフボードと足を繋ぐ紐はない。
その為、ボードに各々のイニシャルなり文字が書かれている。
家の外に出ると天気は曇。風は7メーターぐらいだろうか少し強いと感じられた。
ビーチには既に多くのサーファーが波に乗り楽しんでいる。
砂浜には波に乗れない初心者サーファー達が後学のために見ていたり、雑談したりしていた。
「おはよう。」「今日は遅いな。」「大技見せてくれ。」などと彼らから挨拶を受けるが、キモは空いている左手を上げるだけなのに対し、リオの方は1つ1つ挨拶を返している。
リオは幅広いサーファーに人気だが、キモは堅苦しい人として見られている。
「な?やっぱり場所がないだろ。」
「あ~・・・。」
波のいい日に乗れないのは、赤子のおもちゃを取り上げられた感じだった。
しかも、前日の酒のせいで朝起きれなかったのだ。
キモは自分に腹が立っていた。
「どうする?」
残念そうにリオが聞いてくる。
「ちょっと沖まで出てみるよ。」
「あまり無茶するなよ。嵐が来ているっぽいから沖は危ないからな。俺はパスする。」
真剣な顔をしてキモに遠まわしに止めるように促したが、彼は聞いちゃいなかった。
「どうせこの天気だと明日は嵐だ。2日もシーズンに出来ないのは俺には無理だから、俺は行く。お前は帰って、アネラを落とす策でもしてろ。」
最後の言葉にリオは苦笑いをするとビーチから帰って行った。
キモは皆が波に乗る後方200メートルぐらいの所で1度波に乗ってみた。
だが、波がすぐに崩れてしまい飲み込まれてしまった。
その際、珊瑚で腕と脇腹に切り傷が出来てしまった。
誰しもよく経験する出来事である。誰しもが・・・
(久々に切り傷を作ちまったな。波も悪いし、もう少し沖に出てみるか。)
そう自分に言い聞かせると、ボードの舳先を沖に向け再びパドリングをした。
小さな波はパドリングをしたままやりすごすが、崩れた波や大きな波となるとそうはいかない。
そんな波が来た時、キモは波が目の前に迫ってきた直前にボードごと体を海に沈めるのだ。
そうすれば、大きな波も崩れた白波も上手くやりすごせる。
彼がパドリングを止めたのは、ビーチから1kmほど離れた場所だった。
エメラルド色をしたビーチとは違い、群青色をした沖合は海底深くに吸い込まれそうになる程神秘的な色を映し出していた。
周りには誰もいない。
波も良く、キモは1時間ほど気持ち良くサーフィンを楽しんでいた。
ふと後ろを向くと、すでにキモのいる場所よりさらに沖合では雨が降り始めていた。
(こりゃあ帰った方がいいな。)
そう思い、次来た波に乗りながら帰ろうと思ったが、次来た波は今日1番のビックウェーブ!
(これに乗ってからでも大丈夫だろう!)
軽くパドリングを始めて、波が来るのを待つ。
1度引っ張られる感覚がした瞬間、スタートする。
力強く、そして早くパドリングをして速度を上げて波に乗せ、そして立つ!!
(よし!)
波に乗ると、左右にうまく体重を乗せボードを動かす。
そんなこんなで技を次々と決めていると、波が崩れてきているのに気づいた。
最後は、崩れる前に勢いよく右に体重を乗せ波を駆け上がり離脱する。
キモは、一瞬宙に浮く瞬間が好きであった。
勢いよく海面に叩きつけられると、一瞬だが背中に痛みを覚えた。
(気持ち良かった。)
など今日の波乗りの事を思い出していた時、何かが一瞬横切った。
慌てて、左右を見渡すが何もない。
「じゃあ海中は?」と思い顔をのぞかせると、5匹ほどの黒い影。
一瞬、イルカかと思ったがイルカの背びれは尖ってなければ、あんなに大きくない。
答えは簡単だった。
「Mano!(サメ!)」
それも1匹ではなく5匹もいた。
今日1日の出来事が走馬灯の様に駆け巡る。
腕と脇腹に切り傷。
脇腹の切り傷はすぐに血が止まったみたいだが、腕の傷は思っていたより深かったらしく微量の血がまだ出ていた。きっと、その血の匂いをかいだのだろう。
下手に動けば、サメ達に拍車をかける。
じっとしていても、餌になるだけ。
どうする事も出来ない。
でも、心より体の方が正直だった。
自然と手足が動き、10m程離れたボードまで必死に泳いでいた。
(あと少し!)
必死になって手をボードに伸ばした瞬間、左足に強烈な激痛が走り海中に引っ張られた。
サメは捕食の際、大きく顎を上下させる。
その隙をついて、上手く左足を抜き、餌になるのをかろうじて防いだ。
しかし、左足からは大量の血。
そして、周りには涎を垂らしながらキモの周りをぐるぐる泳いでいる人食いザメ。
意識が薄れつつある中、再び一匹が口を大きくあけてこちらへ向かってくる。
キモは必死になって、逃げたかったが、もうそんな気力も体力もなかった。
(もう・・・どうにでもなれ。)
そう胸の中で呟くと、目を閉じた。
-ピタッ-
(・・・ここは?)
言う事を聞かない身体に鞭打って重たい瞼を開けると、視界がぼやけてる。
(天国か・・・それても、地獄か)
首をゆっくり、左右に動かすと地面にキルトが敷かれており、その周りには沢山の花があった。
「・・・気付かれましたか。」
落ち着いた口調で話す若い女性の声が聞こえる。
「・・・・・・こあ」
キモはうまく声が出せなかった。
すると、女性が再び話しだした。
「亀のおじい様から聞いた蘇生術がうまくいったようでよかったです。ここは、私の家?といえばいいのでしょうか。300メートル海底にあります洞窟です。大丈夫。魔法で水が入ってこない様にしています。」
今度は、胸を撫で下ろす様な口調で話した。
「はっきり言いますと、あなたは1度死にました。サメに食べられて。海中にあなたの霊が泳いでいると魚たちが教えてくたので、場所に行ってみるとあなたの霊と抜殻、つまりこの身体がありました。」
(何を言っているんだ?)
再び薄れていく意識の中でキモは心の中でそう思った。
「あ~今、私を馬鹿にしましたね!そんなことあるわけないと!!」
怒った若い女性の声は大きく、薄れかけた意識が飛んで行った。
キモは再び口をあけ声を振り絞ってみた。
「い…生きて・・・るのか?・・・お・・・俺は。」
その問い対し女性は
「生きてますよ~。でも、右腕はサメに食べられてしまいました。」
その答えにキモは咄嗟に首を右に向けるが、まだ目がはっきりと見えない。
「落ち着いてください。あなたは、1か月もの間深い眠りについていたのです。目も見えなくれるでしょう。ちょっと目を閉じていてください。」
言われたとおりにキモは瞼を閉じた。
目の上に手が乗ったのだろうか、すごく懐かしいような温かさを感じた。
女性の小さい声が聞こえる。
(何かの呪文か?)
心の中で言った時、目の上から温かさが消え
「終わりました。目を開けて下さい。」
ゆっくり目を開けると、天井に洞窟が広がっているのがわかった。
キモはゆっくり右を向くと、右手の7割がなくなっていた。
そして、大きな絶望感を味わい、しぜんと涙が頬を伝わる。
「・・・助けてくれて、ありがとう。」
そういうと、先ほどから声がするの左の方向に首をむけると同い年ぐらいの女性がいた。
腰までありそうな長い金色の髪でうまく胸を隠してる裸の女性とおもったが、実際は違った。
足はなく、下半身が魚の様になっていた。そして、彼女に対して言葉遣いも変わった。
「あなた様は・・・・人・・・魚?なのですか?」
「あなたの目にはそう見えるのでしょうね・・・。・・・もう何年前か覚えてないけど、私も人間だったの。でも、私は生まれてはならなかった存在だったが為に21歳の時・・・呪いをかけられ、海に捨てられた。」
そう話す女性は、どこか寂しく疲れた表情をしていた。
他言無用だと、悟ったキモはこれ以上言わないようにして話題をそらした。
「意識がはっきりしたところで改めて礼を言うよ。ありがとう。いや・・・MAHALO(ありがとう)というべきかな。俺も両親に捨てられた身だ。気持ちはわかる。俺の名は、キモ フィリップス。仲間はキモと呼ぶ。」
「キモね。覚えたわ。私の名は、カーネの13人目の子 ilima(イリマ)。」
「・・・っな。」
「カーネ」ハワイの海を愛する人間なら誰もが知っている名前。
その娘という事にこのやり取りが夢物語なのではないかとキモは思わされた。
左手で顔を覆い必死に冷静さを取り戻そうとする。
(カーネだと。創造主で海神でその娘。たしか・・・歌で聞いた限り子供は12人のはず。それが・・・)
などと考えていると再び、キモに言葉が投げかけられた。
「・・・ねぇ?聞きたい?私の人生を。」
おわり。
PS
評判が良ければ続きを書きます
Angel’s Ladder 第1話 「the end of war」 2009 年 8 月 18 日
1943年12月29日 アメリカ ワシントンDC 午前11時 (日本時間 30日 午前1時)
ホワイトハウス内
「ジャップは『カイロ宣言』をまだ受け入れないのか!!!」
苛立ちを顕にするのは、第32代アメリカ合衆国大統領 トーマス・デラーノ・シェラーである。
彼はオーストリア系移民の家系の出身で、彼の先祖はアメリカ建国にも携わり、初代大統領の補佐役を担っていた事もある。建国以来、彼の一族は代々優れた政治能力でアメリカに貢献してきた。
彼も一族の例に漏れず優れた政治的手腕を発揮したが、中でも「ニューディール政策」により、一時的にせよ経済の建て直しを実現した功績は、彼の評価を否が応にも高める事となった。
「はい。諜報機関の報告によりますと、ニッポン皇帝はカイロ宣言の受諾及び終戦を決定。しかし、それに反発する陸軍将校等がクーデターを実施した模様です。現在、ニッポン皇帝の住む「御所」を中心に、五摂家と斯衛陸軍の睨み合いが続いている状況です。これでは、速やかな宣言受諾は望めないでしょう。」
「黄色い猿どもめ。我々の譲歩に応えないつもりか・・・。」
「大統領。一つ良い報告が入っています。お聞きになりますか?」
「なんだ?。」
「原子爆弾の実験が成功したようです。後ほどこの件については詳しい報告があるでしょうが、お望みであれば、実験成功時の映像を回させます。」
「そうか!ナチにもソヴィエトにも先んじたか!これで「我が国が戦争を終わらせる」目処が付いたということだな。よくやった。・・・となると気にかかるのは例の新型爆撃機の配備状況だが、どうなっている?」
「はい。重慶に試験的に100機配備しております。明日に成都、上海に爆撃予定です。」
「予定を早めて、明日プランAを敢行しろ。あと今日の夕方の定例会見で記者達に原子爆弾の映像を流す。会場に映写機も用意しておけ。」
「よろしいのですか?今この情報を公開しても。ギャンブルは程々にと、夫人もおっしゃっていましたよ。」
「かまわん。研究資料を見る限りだが、1発で数十万人を殺し得る爆弾だ。容易に使用はできん。それに、アレを公表すれば、大陸の我々に対する抵抗の意志を削ぐ事が出来るだろう。無論、開発を急がせる事にもなるだろうが、こちらはもう完成しているんだ。分の悪い賭けは嫌いじゃないが、賭けにしてもこちらの有利は変わらんよ。
問題はこれから先、戦争が終わった後だ。そう遠からず、あの爆弾が国の攻撃力・防衛力として機能する日が来るだろう。互いに最終手段としての核をもつのだ、同じステージで話し合う場・・・機関がこれからは必要になる。社会主 義と民主主義の対立構造が世界を覆う事になるとしても、国際連盟のような茶番に終わらせたくはない。知恵と理想を放棄する戦争は、一種の逃避だからね。私の言いたい事は伝わったかな?」
「・・・はい。」
「では、さっそく準備にかかってくれたまえ。」
補佐官は、プランAを発動させるために足早に大統領室を後にした。
「くそったれ日本人め・・・これが最後の警告だ。日本をソヴィエトに渡すわけにはいかん。」
シェラーは窓をのぞきながら、灰色の重たい空に向かってつぶやいた。
12月31日 午後18時 京都御所内
「皇帝陛下、この度は御拝顔賜り恐悦至極に存じます。」
腰を深々と折ってお辞儀をするのは、陸軍大佐の辻本 政信である。
「辻 本君。私達御摂家は、あなたが強い正義感を持ち、徹底した平等主義を実施している事は、皇帝陛下をはじめ皆知っています。しかし・・・いささか不合理な作戦も多いのではありませんか。その作戦により多くの兵士を失った。君はその責任をどう取るおつもりか!?・・・そして今!君が起こしたクーデターによって政府中枢はマヒし、我々がこうしている間にも九州一帯の国民はアメリカ軍の空襲にさらされ、南方にいる兵士は飢えや戦闘で死んでいるのです!そのことを考えておられますか?陸軍大佐辻本政信!」
最初は穏やかな声で話していたが、次第に荒げた声に変わって話したのは五摂家 政威大将軍 斑鳩 誠治である。
来 たる12月21日当初12時の玉音放送を以って日本は終戦するはずであったが、事前に情報をつかんでいた辻本政伸はクーデターを決意。同日11時に同志 500名を率いて各部署を制圧しようと試みた。しかし、宣言受諾に対して反対していた継戦派による、なんらかの妨害工作を警戒していた衛陸軍の迅速な対応により制圧は失敗。京都には厳戒態勢がひかれ、この日で11日間に及ぶ膠着状態が続いていた。
年始には事態を打開したいという皇帝陛下の意向から31日15時主謀者である辻本を御所内に招いたのである。
辻本を招く3時間前。12時に陛下の意向を侍従長が五摂家に伝達。それを聞いた御摂家の当主達は秘密裏に御所へと集まったのだった。
「皇帝陛下。我々、軍人が今まで戦ってきたのは白人列強世界を覆すためであります。もし終戦を受け入れれば、白人列強世界に負けを認めたも同然です。皇帝陛下をはじめ五摂家の方々の地位をアメリカに奪われてしまうのです!それだけではない。戦争責任を追求され、裁判にかけられる可能性もあります!我等帝国臣民の大使命は、高天原をこの世に顕現せしめる天皇陛下の天業、皇道を礼賛、翼賛申し上げる事にある!その陛下を裁判などという、卑劣で貪欲で臆病で狡賢い獣のような者ども、資本主義者達の発明にかけるなど、国体の破壊だ!この清澄たる日の本の国を塵溜めに変える、許されざる罪です。そんな事を許すなら日本人ではない。否、最早ここに純粋な日本人はいない!!ソレデモワタシハニッポンジンデスとのたまうのなら、その者は即刻死ぬべきだ。理想の為、使命の為にもおよそニッポンの血を引くものは、赤子の一人も残さず死ぬべきだ。その時こそ、罪穢れに塗れたニッポン人の魂は禊祓われ、悉く神と一つとなり、清らかで美しい輝きを放つのです!!」
直立不動のまま、辻本は大声を張り皇帝陛下に訴えている。季節もあいまって部屋は凍りついていた。
その時皇帝陛下である天笠乃宮 孝文が重たい口を開いた。
「君は『カイロ宣言』の文章を全部読んだのかね?」
「はい!」
「なら知っておろう。我々はこの国の象徴となり、政治に直接関与が出来なくなることを。しかし、国民の代表であることには変わりはない。これからも生活が変わるわけではない。仮に連合国側が我々を裁判にかけたとしても、覚悟は出来ておるよ。多くの民を犠牲にした責を受ける覚悟はな・・・。」
皇帝陛下は五摂家の当主の顔を見渡す。皇帝陛下の考えに当主の皆が大きくうなづいた。
「皇帝陛下・・・。今の御言葉を兵たちに聞かせたら、皆一層奮励努力するでしょう!」
涙声になりながら、辻本は力強く答えた。
「まだわからないのか!!!!これは、聖断なのだぞ!!!お前たち軍人はただ、命令に従っていればいいのだ!!!」
五摂家最左翼である崇宰泰平は、辻本の言葉に癇癪を爆発させた。
「これ崇宰。口が過ぎるぞ。彼の者たちも国を思うて動いているのだ。しかし、あまり時も無い。」
皇帝陛下自ら崇宰をなだめながら目の前にある高い壁に困った口調で喋った。
「警護をしている斯衛軍の者たちも疲労の色が日に日に濃くなりつつあります。部下の身を案ずるのも私の重要な役目です。このままでは・・・」
-ウ~ウ~-空襲注意報発令-ウ~ウ~-
帝国斯衛軍総司令の大久保 浩一郎が話しているときに突然市内にサイレンが響いた。
「総司令~~~!!!」
ドアをノックもせずに開けて入ってきたのは、斑鳩 誠治の三男で御所に配備された斯衛陸軍 第1師団 第1大隊長 『斑鳩 廣三(りょうざん)』である。
「不躾者!!!!!ノックぐらいせんか!!」
誠治は思わず役割を忘れ、父としての言葉を廣三に投げた。
「申し訳ありません!皇帝陛下に御報告!敵機の来襲です!重慶より飛び立ったアメリカ軍新大型爆撃機100機が帝都を目指し東進中であります!現在は兵庫上空を飛行中とのことです!」
「なんだと!」
皆の狼狽をよそに大久保総司令は冷静さを示して
「迎撃隊はどうした?」
「それが、我々斯衛空軍の新型戦闘機である『オオタカ』の限界高度15000mより目測で2000m以上高い距離を飛んでいるとの情報です。迎撃は難しいでしょう。2度目のサイレンで注意報から警報に変わります!皆様は地下防空壕へと避難して下さい!」
大久保は悔しさの余り下唇を噛みながら
「・・・皇帝陛下、帝都に侵入を許すのも時間の問題です。地下防空壕へお急ぎ下さい。私は指揮所に向かいます。命令とあれば、この場で腹を切ります。」
「大久保君、私は地下防空壕へは行かんよ。」
皇帝陛下の言葉に誰もが絶句をした。
「皇帝陛下!!」
その場にいる皆が皇帝陛下に反対の異を唱えるが、皇帝陛下は聞く耳は持たなかった。
「九州の民が、京都の民が、散っていった戦士たちが突き付けられている現実を私は目に焼き付けておきたい。」
その答えに皆が一瞬凍りついたが、すぐさま政威大将軍である斑鳩 誠治が
「皇帝陛下。ならば、我等五摂家もお供いたします。」
「ふむ。辻本君は私たちとこの場に残りなさい。」
辻本が意見を言う前に、間を入れず皇帝陛下の穏やかな声が部屋に響く
「斑 鳩廣三君。君は御所に展開している部隊を地下防空壕へ避難させなさい。もちろん陸軍の部隊もだ。私の命令であるならば、彼らも従うであろう。それと、大久 保君は出来る限り京都の被害を抑える努力をするようにして下さい。君の話を聞く限り、迎撃はかなわないとなると出来ることは限られておるだろう。」
「「ハッ!かしこまりました!」」
二人の軍人は、急いで部屋を離れた。
「では、我々も隣の部屋から眺めるとしましょうか。」
7人が部屋を出た時、2度目のサイレンが鳴り響いた。
同日 午後18:10 琵琶湖運河 大津(天虎)水上飛行場
明けない夜はない。
そんな事を思わせるのが、ここ天虎飛行場である。
灯火管制がひかれた飛行場内に指揮所から離れた場所に1機だけライトアップされている。
白く塗られた機体は、人工的に作られた光を浴びて一層輝きをましていた。
まるで長き極夜から解放され、地平線に太陽が姿を見せた瞬間を彷彿させた。
そんな白鷺の前に2人の搭乗員の姿があった。
昭南からベルリン間を無着陸飛行した元陸軍航空隊所属 外野信二大尉 と 高度ゼロ飛行を得意とした元海軍 鹿屋空所属 堀之内 翔 少尉であった。
「山賀大尉殿は戦死なされたそうだ。お前が海軍の病院船で内地に送還中の時にヘンダーソン飛行場で敵機に撃墜されたらしい。」
外野は申し訳なさそうに話しかける。堀之内は目を閉じ一瞬考えてから
「・・・・そうでしたか。わざわざ調べていただきありがとうございます。」
淡々と答えた。
「残念だったな。」
「そうですね。あの方は外野大尉殿程ではありませんが、優しい方でもっと色々教えてもらいたかったです。」
「それは嫌味か?」
苦笑いした外野にあくまで堀之内は淡々と答える。
「そんなことはないです。大尉殿には本当に感謝をしています。」
「はぁ~・・・・一本吸うか?」
1本のマッチで2本のたばこに火をつけた。紫煙が闇夜に消えていく。
「なぁ、堀之内。」
「はい。」
「・・・・・んや。いい。」
「そうですか。」
(お前の性格が塞ぎ込んじまった理由はやっぱりその傷なんだろうな。)
「お前、なんで搭乗員になろうと思ったんだ。」
「・・・よく覚えていません。今は死んだ父や兄に変わり家族を養うためですが・・・。でも、空は好きです。」
煙草をくわえたまま堀之内は答えた。
「そういえば、大尉殿はなぜ?」
「ん?俺か?俺はな・・・・」
外野が言いかけた時、飛行場内にサイレンが鳴り響いた。
「中々答えを出さない俺達にアメリカさんが発破をかけに来たか!!敵も本気ってわけだな!堀之内!指揮所に行くぞ!」
吸いかけのタバコを運河に投げ捨て2人は急いで指揮所に向かおうとしたが、指揮所の方向から数名が駆け寄ってくるのが見えた。
彼らはみな白鷺の乗員である。8人の機銃手。機関士、電探士、航海士、通信士と2人の操縦士の計14名という大人数で1機の機体を飛ばす。
「大尉殿ぉ!」
手を振り、大声を出しながら走ってくるのは機関員の神楽 圭少尉である。
「ハァ、ハァッ…っん、報告!重慶基地を飛び立ったアメリカ空軍新大型爆撃機100機が神戸を通過!目標は京都と思われますが、我々は空中退避命令が下されまし た!指定空域は伊勢湾大王崎沖合50キロから津の沖合70キロ!高度は2000!尾翼灯は必ず灯せとのことです!別命あるまでその場で待機!以上です!」
神楽は肩を大きく揺らしながら外野に報告をした。
「わかった!各自、持ち場に急げ!すぐ上るぞ!」
「「「「ハッ!」」」」
13人の威勢のいい声が響いた。
飛行場に電灯が灯り明るくなる。水面には誘導水路、滑水路の明かりも灯り暗い水面を彩っている。
14人が白鷺に乗り込み、慌ただしく離陸の準備をする。
やがて、大空寺製「輝1型」発動機が動き始める。
「回転数安定。油圧共に異常なし!」
機関員神楽が外野に伝える。
「ヨーソロ。ブレーキを緩めろ。出力20。」
ブレーキを緩め、推力を上げると大きい機体は上下に小さく揺れながら動き出した。
「2番(機銃手)よりコクピット。機体がやや左向きです。右修正2.0!」
「ヨーソロ。右修正2.0!」
今度は堀之内が声を出し、舵を修正をする。
「針路中央戻りました。このまま!誘導水路に入りました!」
白鷺の欠点は、大きく前に出た機首のせいで滑水中の視界が悪く、2番機銃手が指示を出さなければならない点だった。
「フラップ10度さげろ。」
フラップが伸展音が機内に響く。
「発動機点火。」
光菱製「流星11型」の甲高い音と共に回り始める。既に滑水路では次々と海軍の水戦が2機ずつ離水していく。
「まもなく滑水路に入ります!左修正180度!」
「ヨーソロ。左修正180度!」
堀之内が再び声を出し左に舵を取り、滑水路に入った。
「皆聞け!これより戦闘状態に入る!これは訓練ではない!気を引き締めろ!」
外野が皆に励ましの声をかけ、皆もそれに応えた。
機体は出力を最大にし、溶けるように夜空へと消えていった。
午後 19:20 御所 別室
最初の爆弾は京都の伏見地区に投下された。
京都は山々に囲まれているという事から街は密集している。
その為、一度火災が起きれば瞬く間に町全体を火の海にしてしまうのである。
探空灯や高射砲の射撃音も聞こえるが、高度17000mを飛行している爆撃機に、高射砲の弾丸が届くはずはなく、事は別室にいる7人には周知の事であった。
徐々に爆弾が落ちてくる音が聞こえてくる。
「ほっほっほ・・・・日露戦争の203高地を思い出すわい。」
九条忠勝が、楽しかった思い出を語るように、笑いながらつぶやいた。
「九条殿!些か、不謹慎ではないであろうか。」
煌武院博仁が九条を制する。
2人の話の間にも徐々に爆弾はこちらに向かってきている。
熱風に乗り、人々の逃げ惑う声が御所にも聞こえてくる。
皇帝陛下は終始無言で市街を眺めていた。
爆撃は1時間半ほど行われた。
御所には1発の爆弾も着弾しなかったが、市街は火の海と化し、斯衛軍などが慌ただしく、消火活動を展開している。
皆が無言で己の無力さを痛感していた時、辻本が声を出した。
「皇帝陛下・・・陛下の御意志確かに受け取りました。そして悟りました。もはや、大和魂で勝てる戦争ではないのだと・・・。我々が、御所を押さえなければ、どれだけの命を救う事ができたか・・・我々の責任は重大です。ですが、どうか・・・どうか・・・部下の命だけは助けていただけないでしょうか? お願いします!!!」
辻本は、皇帝陛下の前で土下座をした。
「これからの復興に男の人口は多い方がいい。私から陸軍には申しておこう。よろしいでしょうか。皇帝陛下。」
斑鳩誠治が皇帝陛下に問うと、無言で首を縦に振った。
「だが、辻本君。君は君の部下、君の死なせた兵士達、全てに対する責任を取るのですよ。」
「・・・はい!ありがとうございます!」
辻本は涙を流しながら頭をさらに下げ、部屋を退室した。
5分後、一発の銃声が聞こえた。
辻本は御所の正門の外で、御所のどこかにいるであろう陛下に対して一礼すると、自らの頭を銃で打ち抜いたのだった。
「国を想うのは皆同じ。されど、彼の者は道を間違えてしまった。いや、我々が間違えていたのかもしれない。」
皇帝陛下は寂しげに呟いた。
クーデターは終息した。
同日 午後10時50分 神島
「京華様、無事クーデターも終息。爆撃の被害もないとのことで皆様ご無事の様です。」
寒空の下、1人の女性が煌武院 京華に話しかけた。月詠 くみである。
「地下壕があるのです。無事じゃなきゃ困りますね。それに我々が無事であっても、民の被害は甚大でしょうね。」
京華は落ち着いた口調で話した。
「それより月詠。先ほどから、大きい飛行機が行き来していますね。」
海に囲まれた島の冬は寒い。2人の吐く息は白かった。
「それは・・・・多分、斯衛空軍の航空機が上空待機しておられるのでしょう。そのような話を聞いたような覚えがあります。」
「そうでしたか。それにしても大きい飛行機ですね。」
「そろそろお部屋にお戻りください。風邪をひかれないうちに。」
「そうですね。」
2人は別邸に戻っていった。
同時刻 神島上空
「機長!司令部より入電!」
「読め。」
「白鷺ハ飛行場ニ帰還セヨ。以上です!」
司令部から送られてきた指示を聞き機長が一言。
「これより、帰還する。」
どことなく、皆の顔がつかれていた。
それもそうだろう。夜間飛行に加えて、初めての実戦だったのだから。
皆が疲れた顔をしていたので機長が一言。
「よし!帰ったら、皆で一杯やろう!大晦日なのだ。いやなことでも忘れながら朝まで飲んで、初日の出を拝んで寝よう!」
その一言に皆が元気になった。
(現金な奴らだな。)
機長の外野は内心で苦笑いをし、機首を大津飛行場へと向けたのだった。
翌日、1944年1月1日 午後12時
皇帝陛下の年初の挨拶で国民に終戦を告げた。
だが、これからが本当の戦いの始まりであることを五摂家の誰もが予感していた。
つづく
なぜに別邸が鳥羽にあるのか。 2009 年 7 月 29 日
この理由を話しておこうかなと思います。
実は相方という名の彼女がおるのですが、名古屋に住んでいるために遠距離恋愛をしておりますw
1か月に1度東京に来るか、俺が名古屋に行くかというかんじ。
もう1年以上つづいております。友人の付き合いが約2年間ありましたね。
んでぇ~母親と母方の祖母も実は名古屋人なわけでそんなに違和感無いというか・・家族と話すときはバリバリ名古屋弁でしゃべるんですよね。
だから名古屋はそんなに遠い存在ではないんですよ。第2の故郷的な?
話がかなりそれてしまいましたが・・・
ちょうど去年の今頃に相方と鳥羽に旅行に行ったんです!
俺のわがままでw
離島めぐりがしたくて、駄々をこねたわけですw
その時訪れたのが、神島と答志島に行ったんです!!
そこのお昼を食べた民宿のオジサンがすごくいい人で、ビール瓶3本もタダで出してくれたり、採れたての魚を出してくれたりして俺と相方は狂喜乱舞ww
軽トラの荷台に乗せてくれたり人柄の良さは良い意味で異常でした。
水上機が飛び立つには好条件だし、人柄の良さから五摂家の御傍で使えてたものや斯衛軍人たちが引退したところがこんな所だったら合っているのかもと思ったわけです。
別邸の舞台は神島になるかなと思います。
三島由紀夫の『潮騒』の舞台となった所で灯台が有名です。
灯台にいるネコたんが可愛すぎて萌え死にそうになりますw
とりあえず報告終了w
あっ!相方は1つ年上で、身長は俺よりも高いですw
なによりTEのイーニャが大好きでマブラヴゲームも全部プレイしているほどのオタクw
いや・・・おれがオタクにしてしまったのかもしれないww
番外編 第三次ソロモン海戦 2009 年 7 月 27 日
1942年11月12日
哨戒中の水上機がガダルカナル島沖合150キロの所で、重巡洋艦2 ミサイル巡洋艦3 駆逐艦8からなる艦隊を発見。
この知らせをうけてラバウル航空隊は、雷装をさせた一式陸上攻撃機 通称「トビウオ」26機と零式艦上戦闘機 通称 「オニヤンマ」34機、計60機を発進させた。
ブーケンビル島上空
「鹿屋空から斯衛空軍に抜擢されるのは大変な名誉だ!しかも、それが我等の主操縦士(メインパイロット)と来たんだから俺は涙が出るほどうれしいぞ!みんなも嬉しいだろ?」
そう話すのは指揮官の山賀大尉である。山賀の問いに乗員の皆が「はい!」と答えた。
「山賀大尉~やめて下さいよ。皆さんのおかげで今日まで生きてこれたのであって私は何もしていませんよ。」
帝国斯衛空軍に転属される事が決まった堀之内 翔 少尉(24歳)が苦笑いしながら答えた。
堀之内は一式陸攻が配備されたと同時期にシンガーポールの鹿屋航空隊に配属された。彼は雷撃の時に1番の凄さを発揮する。
―高度ゼロ飛行―
高度計がゼロを指すほどの低空で飛んで対空砲火を交わし、雷撃をするという事が彼の1番得意とする飛行技であった。
マレー沖海戦では、右舷中央に魚雷を見事に命中させている。
その後、ラバウルに来るも雷撃する機会にはあまり恵まれず、来る日も来る日も飛行場爆撃任務についていた。
それでも彼の類希な操縦技術で一式陸攻の被害が拡大していく中であっても、確実な戦果をあげていたのだ。
そこに目をつけた斯衛空軍が彼を引き抜きをしたのだった。
「帰ったら宿舎でお祝いだ!先に死んだ鹿屋の連中もきっと喜ぶだろう。」
「はい!鹿屋の名に恥じぬようこの堀之内、一層奮励努力します!」
「編隊指揮官機より各機に告ぐ。まもなく敵レーダー空域だ。ミサイルが飛んでくるぞ!各機警戒を厳にし、囮弾の用意をせよ!」
この時攻撃隊は艦隊まで、まだ150キロ近く離れていた。
囮弾とは、敵が撃ってきたミサイルを迎撃する為に作られた日本軍のロケット砲である。しかし、命中率が極めて低いという難点があった。
アメリカ海軍 重巡戦隊 旗艦 重巡洋艦
「キャラハン少将!敵50機以上の編隊が本艦隊に向かっております!」
「ジャップ艦隊を討たなきゃ行けないというのに・・・。各艦に通達!戦闘配備!ヘンダーソン飛行場と後方にいるエンタープライズにも連絡!護衛戦闘機隊を要請しろ!」
「ハッ!」
13隻の艦船から警報を告げるブザーが鳴る。
キャラハンの要請に対し、ヘンダーソン第2飛行場からF6Fヘルキャット18機、エンタープライズから27機の計41機がスクランブル発進をし、急ぎ重巡戦隊護衛に向かった。
「キャラハン少将、各艦戦闘準備完了ました。」
「よし。これよりジャップ機に対し先制攻撃を仕掛ける。防空ミサイル発射用意!主砲にはVT信管弾を装填しておけ!」
「防空ミサイル、データ入力完了!」
「ファイア!!!」
キャラハンが声を荒げると巡洋艦5隻から発射されたミサイル35本が白い煙を出しながら地平線の彼方へと消えていった。
敵艦隊まで距離50キロ
「編隊指揮官機より。35本のミサイルが接近中!各機囮弾用ー意!10秒後に各機一斉発射する!各機タイミングを合わせよ!・・・・5、4、3、2、1、撃っー!」
各機から放たれた計60発のロケット砲が60本の白煙を作り上げて飛んで行く。すると前方で数十発か当たり1キロほど離れた先で爆発が起きた。
しかし、60発のロケット砲をもってもすり抜けて来た13本のミサイルがあっという間に飛行機を撃墜してしまった。
「クソッ!7機も味方が食われたか。」
指揮官の山賀大尉が怒りをあらわにした。
「オニヤンマも6機喰われたみたいです・・・。」
堀之内が声を抑えて山賀大尉に報告する。
「電探に感あり!!11時方向、距離2キロ!数は18!!」
電探兼通信員の及川飛曹長が声を上げ、それを聞いた山賀が全機に通達した。
「ヨーソロー!これより、オニヤンマは米軍機迎撃に向かう!各機増槽落とせ!高度を10000mまで上昇!」
「オニヤンマ隊待って下さい!3時方向にも感あり!距離1キロ!数は27!!」
別の攻撃隊の無線報告が入る。さらに
「2時方向敵艦隊視認!!」
「編隊指揮官機より。オニヤンマはこのまま米軍機を迎撃せよ!トビウオは・・・」
言いかけている途中で指揮官機が爆発をした。巡洋艦が放ったVT信管による砲弾によって。
「副指揮官機より各機。全軍突撃せよ!!!」
「さぁ~最後の花道だ!堀之内!駆逐艦は狙わず、ここはデカイ重巡かミサイル艦狙ってけ!」
山賀の威勢のいい声が機内に響く!堀之内はスロットルを最大にし、機体を降下させる。
「1番機銃手!危ないから中へ!」
堀之内が1番機銃手に声をかけると、
「大丈夫ですよ!少尉の操縦する機体なら楽園まで金使わずに連れてって貰えるんですから!それに、こ~~~んなペラッペラの機体ならどこにいても一緒っすよ!!」
と笑いながら答えた。その答えにだれもが笑う。そんな談笑をしている間に米粒ほどだった艦隊がどんどん大きくなる。
―高度30m 敵艦隊までおよそ2km―
艦隊が近くになるにつれて弾幕が激しさを増す。砲弾が掠める音や高射砲の爆発に機体が激しく上下する。
「後部銃座より堀之内少尉!オニヤンマが敵戦部隊をなんとか抑えています!後ろを気にせずやっちゃってください!!」
「了解!!爆弾倉開け!」
副操縦士の児玉が復唱し、『ウィーン』という音がし爆弾倉が開く。
「高度さらに下げます!児玉飛曹長、高度計の読み上げ願います。」
「現在、22!・・・15・・・・10・・・・・5・・・・3・・・・2・・・・・1!」
堀之内は微妙な操縦桿捌きで高度を維持している。
「目標!!!敵重巡洋艦!!距離1000!!」
右前方にいた駆逐艦を通過し目標の重巡に1000mと近付くと重巡からの対空砲火を一斉に浴びる形になった。
―バリーン!カン!カン!ガン!―
ガラスが割れたり、機体に命中したりする音が1秒間に10回以上も聞こえる。
(クソ!飛行場なんかよりすげぇ砲火だ!)
前方を飛行していた攻撃機が次々と火を吹いて海に墜落するか、自爆をしている。
「距離600!魚雷発射よーい!!・・・・・・・・撃ッーー!!」
800キロもする魚雷を切り離すと機体がふわりと浮いた。
―ズドーン―
轟音と共に高い水飛沫をあげた。
「左舷前方に魚雷命中!!」
その報告に、堀之内は小さな溜息をついて自分を落ち着けた。
(よかった。これで最低限の仕事はしたよな。)
「これより帰還する。各自被害報告!」
指揮官の山賀が言った時、操縦士達の目の前で高射砲が炸裂。
声を上げる間もなく破片が堀之内を襲ってきた。
一つの破片は右脇腹を貫通し、もう一つは右頬に突き刺さった!
「あ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」
絶叫する堀之内のもとに山賀が駆け寄る。
「おい!堀之内しっかりしろ!!!児玉このままお前がメインで急ぎラバウルに舵を取れ!!」
「りょ、…了解!!」
「堀之内!!!傷は浅いぞ!!しっかりするんだ!!!」
貫通した右脇腹から大量の血が流れ出る。次第に意識が薄れていく堀之内。
(このまま、死ぬんだろうか・・・。)
「おい!!止血するぞ!!だれか手を貸せ!!い・・・・・。」
(・・・・・っん・・・・いてぇ~・・・・・)
あまりの痛さに堀之内は目が覚めた。
「モルヒネが切れたんだろう。あまり動くとまた傷口が開くぞ!」
椅子に座った男が優しい声をして堀之内に声かけた。
「・・・・・や・・・山賀大尉。・・・・・ここは?」
「ラバウルの海軍病院だ。」
「・・・・・俺、生きてるんですね。・・・・他の人は?」
「1番機銃手はバラバラ。左右、後部銃手は生きてるが、児玉は死んだよ。あいつも胸に被弾していたんだ。着陸と同時に意識を失ってそのまま逝っちまった。お前が生きているのは奇跡だって軍医殿が言ってたぞ!」
神妙な顔をしていた山賀も最後は苦笑いしながら堀之内に話した。
「・・・・すみません。」
「明日、お前は海軍の病院船で内地に帰る事になっている。荷物は適当に詰めておいたから。あと、これはお守りか?あの爆発でも無傷だったんだ。」
「私が出兵する時に母から貰ったものです。」
「このお守りは、お前に返しておく。俺は、明日も出撃だから見送りには行けないが・・・・達者でな。もう寝ろ。」
「山賀 剛大尉、1年半ありがとうございました。」
その言葉を聞くと、山賀は病室を後にするため歩きだした。
堀之内は大切な言葉を言い忘れたのに気づき、でない声を振り絞って山賀に声をかけた
「大尉・・・。御武運を。」
その言葉を聞いた山賀は歩くのを止めて、振り向かないまま左手を上げ、また歩き出していった。
次の日、病院船に乗せられた堀之内は内地に帰還。驚異的な回復を見せ、半年後には斯衛空軍の検査に合格。
白鷺の搭乗員として、テストの日々を過ごしていた。
だが、頬には高射砲で受けた傷やヤケド跡がはっきりと残っており、傷跡を襟巻で隠しながら生活していた。
そして、1943年12月30日。大津上空
「・・・・・ち。・・・・・うち。堀之内!」
「・・・・・すいません。」
「物思いにふけるのはいいが、それは訓練後にしろ。もうすぐ初任務があると指令から聞いている。気を引き締めてもらわんと困るぞ!」
「もうしわけありません。外野大尉殿。」
外野信二。彼はシンガポール~ベルリン間を無着陸飛行に成功させた日本の英雄である。その腕を買われ斯衛に転属されたのだ。
堀之内は平謝りすると、右脇腹に手をあてた。
「どうした。傷跡が痛むのか?」
「いえ。そういうわけではありませんが・・・。命の恩人である山賀大尉殿は生きておられるのかと気になって・・・。私が生きていられたのは山賀大尉のおかげですから。」
「そうだったな。クーデターが終息すれば、戦争も終わる。生きておられれば、また会う機会もあり酒などを酌み交わすことも出来るだろう。」
「そうですね!」
「さぁ~大津が見えてきたし、着陸するぞ!各員シートベルト着用!着水用ー意!」
白い機体の白鷺が夕焼けに染まりながら琵琶湖運河の大津飛行場に着水する為に高度を徐々に降下させていった。
おわり。

堀之内 翔 少尉 24歳
父を5年前に亡くし、大学を辞め海軍航空隊の試験に合格。訓練学校を首席で卒業し一式陸攻のパイロットとして鹿屋に配属された。本当は戦闘機に乗りたかったらしいが、彼の192cmという日本人離れした体系では戦闘機の狭いコクピットに収まらなかったという。死んだ父に変わり幼い妹達の生計を立てるためにをお給料の半分以上を家族に送っている。勤労青年として隊では親しまれている。

外野 信二 36才
シンガポール~ベルリン間の無着陸飛行に成功した元海軍航空隊の操縦士。人柄も温厚で非番の日になると搭乗員(白鷺)達を連れ街に出ては一杯奢るという方。口癖は「みんなは俺の息子だ!」「嫁さんに会いたいぞ!」である。どうやら意外と甘えん坊らしい。

F6F ヘルキャット
最高速度 マッハ1、5km
武装 20mmバルカン砲1門(弾数620発)
対空ミサイルもしくは対艦ミサイル、対地ミサイルそれぞれ4本まで
航続距離 2600km
巡航速度 800km 高度10000メートル時

零式艦上戦闘機32型 「オニヤンマ」
最高速度 マッハ1、2km
武装 20mm機関砲6門
囮弾4本
航続距離 3000km
巡航速度 600km 高度8000m時
特徴 日本海軍主力機として終戦まで戦い尽くす。アメリカ軍新鋭機F6Fに対抗する為に両翼の先端にロケットブースター(15分間だけ稼働)が備えられた。本来の光菱製「栄」エンジンのみの最高速度は860kmである。

一式陸上攻撃機 「トビウオ」
最高速度 720km
武装 20mm機関砲5門
800kg魚雷1もしくは1トン爆弾1。500kg爆弾2個etc
航続距離 4100km
巡航速度 560km 高度8000m時
特徴 多種多様な海軍攻撃機として様々な任務に使われ終戦まで活躍した。しかし、防弾の薄さから被害の拡大が増え始める。御摂家要人機としても使われた時期もあったが、海軍甲事件を受け、御摂家は斯衛に対し開発中の新型機の開発を急がせた。そこで出来たのが白鷺である。
イラスト パート1 2009 年 7 月 25 日

相変わらず、下手な絵で申し訳ないですが「煌武院 京華」です。
清楚で高貴なイメージを出そうと努力しました。

御摂家専用 三式大型輸送艇 『白鷺』
全長 33、42m
全幅 41,53m
発動機 大空寺製「輝(テル)1型」(レシプロ)
光菱製 「流星11型」(ターボジェット)
最大速度 762km 高度8000m
巡航速度 410km 高度10000m
航続距離 3218km
武装 2式25電探連動対空砲8門(2連装6門・3連装2門)
3式噴式誘導弾10
①~⑦2式25電探連動対空砲(②③は3連装。⑥⑦は格納式)
⑧乗務員専用乗り口
⑨要人専用乗り口
⑩光菱製 「流星11型」(ターボジェット)
こんな感じです。











